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泉美木蘭
2015.2.10 04:07

イスラム国を知りたい方へ推薦する動画


人質事件、『新戦争論1』、道場への準備などを通して、
イスラム国や、イスラムから見た世界史、などに関する
本や動画や記事などをいろいろと調べてみたのですが、
VICE NEWSというメディアが昨年公開していた、
42分間の
イスラム国への潜入取材映像が、
私には一番わかりやすかった。

VICE NEWS : The Islamic State
https://news.vice.com/video/best-of-vice-news-2014-the-islamic-state-full-length

再生ボタンを押すと、動画がはじまり、そのままでは英語字幕に
なりますが、動画右下の歯車のマークやメモ用紙のマークなどを
クリックして設定すると、日本語字幕を表示できます。

このジャーナリストが
どのような経緯でイスラム国の戦闘員に
案内されながらここまでの最前線に立てたのかはわからないが、

イスラム国戦闘員の父親が、幼い息子に、
「どうしてパパは不信教者を殺すのだと思う?」
「やつらはイスラム教徒を殺したから」
「おまえは大きくなったら、ジハード主義者になりたいの?
それとも、自殺的特攻者になりたいの?」
「ジハード主義者」
などと問いかけながら思想を教え込んでいく様子、

戦闘員が勇ましく腕を振り上げて、
「お前たちが私たちの女を捕えたように、私たちも
お前たちの女を捕えてやる!
お前たちが子供らを孤児にしたように、私たちも、
子供らを孤児に・・・」
と言いながら、たまらず泣き崩れてしまう姿、

酒を飲むものはいないか、不正な商売をする店はないか、
妻に肌をきちんと隠させない夫はいないかを確認しながら
町をくまなく車でパトロールする隊員が、
「私たちは不信教者とも、不道徳とも戦わなければならない」
と発言する姿、

それから、私にとっては、
シリアとイラクの国境の一部を制圧したイスラム国戦闘員たちが、
国境線を破壊するシーンが非常に印象的だった。
「国民国家」や「サイクス・ピコ協定」を勉強しなおしたばかりなので、
彼らにとって国境を壊すことがどれほど重要な意味を持つのかを
考えたからだ。

「ぼくはイスラム国のシリア人。はじめて、パスポートなしで
イラク国境を越えています」
「私はイラク人。以前はシリアにいる息子たちに会えなかった。
シリアに渡るには、シーア派の軍隊に入る必要があったからだ

そう感慨深げに語る人々。
国境だった場所に立つ戦闘員たちは、
貼りめぐらされていた土嚢や有刺鉄線をブルドーザーで破壊し、
「サイクス・ピコ協定をぶっ壊したぞ!」
と声を上げる。
砂漠の真ん中に立ち、ジャーナリストに向かって地理関係を
説明しながら、歴史の講義を行う。

「約100年前、イギリスとフランスがオットマン帝国であった
この地域を分割した」
「ISの怒りと猛威はサイクス・ピコ協定が発端になっている」
「私たちはサイクス・ピコ協定を信じない」

道場の冒頭でも解説があり、『新戦争論1』に描かれている、
国境線のなかにむりやり封じ込められてきた姿が、
映像としてそこにあった。

もし、イスラム国について知っておきたいという方には、
推薦したい動画です。
もちろん、
イスラム国は一部の過激派であり、
「イスラム教徒の代表」ではありません。
彼らの行為に眉をひそめ、恥と感じるムスリムの人は多く、
VICE NEWSの日本版は、こう添えています。

全てのムスリムが過激派ではありません。
詭弁を弄させていただきますと、日本人の大半は地下鉄サリン事件を
起こした某宗教団体に所属している、もしくは、日本人を見たら赤軍だ
と思え、と海外でまことしやかに喧伝されたら、全く関係のない皆様、
どのような心境になるか想像してみてください


泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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